片付けが得意ではありません。
そんな自分にイライラするのが日常。
何度か深掘りに挑戦したのですが……
このイライラの正体、自分でもつかみきれていなかった。

かっこわるいから?
視界にいらぬものが入って集中力を削がれるから?
人として決定的な何がか欠如していることを突き付けられる(あるいはそう思わされる)から?
毎日毎日同じような片付けを繰り返し、仕組みが改善されていない自分に辟易するから?
人が来ると「わ~キレイ!」「片付いてる!」と言ってもらえる。

いや、もちろん猛烈に片づけたからこその結果なんですけどね(笑)
ゆえに、たぶん「片づけられない」というわけではない。
……約束なしに訪れた人も「どうぞ~」と招き入れることができる家が理想なんです、わたし。
見栄のためではない。デフォルトがそれくらいになっていてくれたら、毎日が快適でラクだろうなぁ、という自分の判断基準の表現なんだと思います。

「その理想と現実の乖離を見せつけられる(現状・自分の在り方)」ことに
イライラの一つの原因があるのかも!とは思っているのですが。
――前置きがながくなりましたが。
そんなわたしのイライラやモヤモヤの解決の大きなヒントになりそうな一冊に出合うことができました!
家がぐちゃぐちゃでいつも余裕がないあなたでも片付く方法
筆者はADHDで、産後うつを経験するなど様々な要素がかさなり、さらには国民性の違い(海外の方です)という背景なども相まって、相当ぐっちゃぐちゃな家が想定されている本書。
洗濯は週1回とか、食器はまずためておくとか――表層をさらうと「いやこれ、日本の現実ではちょっとありえなくない?」と思えるほど(まぁ、そんな「正しさ」すら手放せ、とも言っている)。
しかも、翻訳された本にありがちな独特の読みにくさもあるのですが(これは翻訳が悪いのではなく、著者の言い回しや表現のクセがそうさせているのだと思う)……細かくわかれたチャプターのおかげで、つまみ食いしやすい構成になっているのが救い。

――と、こんな風に紹介すると、「一体何がいいの?」と思われそうですが(笑)、根底に流れる「言いたいことの本質」には学び(救い?)が溢れていました。
イライラの原因は、羞恥心!?
生きていくうえで必要な家事のことを、本の中では「ケアタスク」と呼んでいます。
この「ケアタスク」という表現からうかがえる通り、自分にとって必要なケアは違うはずで、「家事一般をうまくやろう/効率よくやろう」という話とは一線を引いているのがこの本全体に通じるスタンス。
ケアタスクを正しい行いと考えているのなら、それをやり遂げようというモチベーションには羞恥心が関係してきます。
序盤で出てくるこの一言に、ハッとしました。
片付いた家が理想と考えていたわたしは、それを実現するにあたって「正しさ」「正解」を求めていたんですよね。正しい状態をキープできる仕組みをつくるにはどうしたらいいのだろう?という「正解」を求めていたから、それが実現できていない状態が恥ずかしい。
快適に暮らすことへの壁の高さがケアタスクの完了を難しくしている場合にその人が感じる恥ずかしさは、大きなものとなるでしょう。「こんなにシンプルなことがどうしてできないの?」と、考え込んでしまうからです。

片付けが「できる/できない」で判断すると、この羞恥心の呪縛にハマり続け、イライラから抜け出せないということなのかも…
片付けるのは「散らかっているのが悪いから」ではなく「自分に対する慈しみ」
そして本の中では「自己嫌悪からではなく、自分に対する慈しみとしてケアタスクに取り組む」ことを勧めています。
わたしは「丁寧な暮らし」って言葉にちょっと拒絶感があって…ちょっとこそばゆくありません?
なんだろう、いや、丁寧な暮らし自体はいいのかも。「#丁寧な暮らし」がムムム、なのかも。

「丁寧さ」を他人に見せることが目的に思えてしまうってことかな?
で、この本で言う「自分に対する慈しみ」について、私は「#丁寧な暮らし」的なものではなくて、「自分がどうなっていたら安定していられるのか」に応えることなのだと解釈してみました。
「片付け」へのスタンスを変えてみた!
そこで。最近わたしはいくつか「片付け」への目線を変えてみました。
自分の心に耳を澄ます
「ここは片付いているべき」「家全体に着手しなくちゃ」「最近手を付けていないあそこをそろそろやらなきゃ」という、「家全体に飛び回る意識」や「べき論」は一旦横に置いておいて…。
その代わりに始めたのが「自分のよくいる空間のあちこちに立ってみて見渡す」こと。
そして、「あの場所がわたしをモヤモヤさせているな」という場所だけに着手する。

そこが改善されることでうれしさを実現するって、まさに「自分に対する慈しみ」!
これ、「表向きだけ繕う」ということになるのか?とも思ったのですがとんでもない!
✓ 「自分の心地よさ」に直結するので心に余裕がうまれる
✓ モヤモヤの吹き溜まり改善のために収納や仕組みを見直す、ゆえに他の場所にも小さく波及する
✓ 翌日、同じ場所を再び片づけることになっても
「汚いから」(—から0ヘ)ではなく「ここのきれいが自分の幸せにつながるから」(+へ)
=「やらなくちゃ…」から「やりたい!」へ
まだ3日目ですが、この短期間でも視界に入るものがぐんと減って、しかもこれまであっという間に元通り…となっていたのが、比較的キープできている!
すごく心が満たされています。
おしまいに
いわゆる「お片付け本」とは一線を画すこの本。
清潔か、掃除が必要か、整頓できるか、できないか――それはあなたの人間性とは無関係です。
さらに、「できる/できない」というジャッジになりがちな「ルーティーン化」ではなく、「リズムに乗ること」を意識することなど……ハッとさせられる欠片が散りばめられています。

読む人によって、引っかかる場所が全然違いそう!
「大掃除しなきゃ…」とか、「来年こそ片付いた家を目指す!」と意気込んでも、どこかワクワクできず、むしろギスギス感や焦燥感にさいなまれている自分を感じるなら。
やさしいヒントを与えてくれる一冊になるかもしれません!